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普通電車で九州へ(2) 小倉~宮崎

朝。
出発前に私はTさんに言った。

 「今日は乗り換えを頑張らないとダメですからね!
 昨日みたいにトイレのせいで乗り遅れたり、ホームを間違えたり、
 お腹が空いたからって途中下車しちゃったりしたら、
 今日中に着かなくなるから頑張りましょうね!」

偉そうに言ってみたが、乗り遅れたのもホームを間違えたのも、お腹が空いて途中下車したのも、ぜんぶ私である。
Tさんは寛容にもハイハイと笑ってくれる。

中津ゆき

JR九州。
小倉から乗りこんだ列車は3両編成だった。
だんだんいい感じに鄙びてくる。

この日も天気は曇り空のまんま。
水平線はどんよりと暗い。
うつらうつらしていたら豊後豊岡のあたりで目が覚めた。
・・・覚めたら。
車窓に。
椰子の木が!
ヤシが!
南国だ!
九州だーーー!!
めっちゃ九州だよ~ねえ、Tさん!
 「あ、そう」
たかが椰子の木で喜んでるのは私ひとりだった。

2両編成の電車は別府駅に着いた。
次の電車まで3時間。
 「3時間あればお風呂に入れるよ!」
手近な温泉を教えてもらうつもりで観光案内所へ行ったら
 「3時間あれば『地獄めぐり』ができる!」
と観光をすすめられた。
強くすすめられた。
もちろん、お金も時間もぜんぜん足りない。
観光してる場合じゃない。
一人なら絶対に行かなかっただろう。
だけどTさんの目が輝き、
 「行こう!ぜひ行こう! 私がタクシー代出すから!」
と言ってくれたおかげでプチ観光をすることができた。
持つべきものは先輩である。

『坊主地獄』
坊主地獄

そして

『海地獄』
海地獄

海地獄の華やかな水色を目にしたとき、わあっと歓声をあげた。
なんて色だ!
パムッカレみたい!
青の洞窟みたい!
バスクリンみたい!
地獄よいとこ一度はおいで!

赤い温泉池にはにちょっとだけ、アンデスの湖を思い出した。

海地獄で血の池

でも。
観光もいいけど。
きれいだけど。
温泉はやっぱり、入るものだと思う。
別府には数百円で入れる気軽な温泉がたくさんある。
私たちは駅前の『高等温泉』に入った。
大正時代の建物が素敵。

別府駅前高等温泉

湯船は小さく脱衣所も狭い。
必要最小限の設備しかない。
「銭湯」って雰囲気だ。

温泉

だがその効果はすごかった。
お肌ツルツルってだけじゃない。
夜、Tさんが目をまん丸にして叫んだ。
 「あんたちょっと、背中、見せてみ!」
私はアトピー持ちで近頃とくに首と背中が酷い。
Tさんはそれを知っている。
 「しっしん、治ってるで!」
そういえば首の痒みもおさまっている。
たった1度、30分ほど漬かっただけなのに。
2日経ってもまだキレイだった。
温泉って、すごいんだ。

つまようじ

たった3時間の途中下車で、観光してお風呂に入ったうえに、お昼ごはんまで食べることができた。
またしても『流行ってる店の隣りの空いてる店』だったけど十分に美味しかった。
とり天と、唐揚げ。
鶏肉めっちゃ柔らかいねん!

とり天と唐揚げ

温泉ぽかぽか。
お腹もいっぱい。
最高の気分でまた電車に乗りにいく。
ゴールの宮崎がだんだん近づいてくるのが嬉しい。

階段

今日の列車は、小倉からが3両編成。
次に乗り換えたのが2両。
 「だんだん短くなってきたね」
と言ってたら。
延岡までの列車がついに1両になった。

1両列車の停まる駅

ワンマンの1両電車!
しかも赤!
いや、紅!
めっちゃ可愛い!

線路は海からはなれ、深い山へと入っていった。
トンネル。
トンネル。
またトンネル。
山間に流れる川のほとりには、隙間みたいな土地を拓いて田んぼがつくられている。
土地がひろがると集落になり緑の田畑が整然と並ぶ。
そうして人々が暮らしていた。
村の道に腰を曲げてあるくお年寄りの姿が見えた。
犬を散歩させるおじさんの姿が見えた。
簡素なホームからは高校生がわいわいと乗ってきた。
たった1両のワンマン電車が満席になることはついぞなかったけれど、どんなに小さな無人駅にも『名所案内』の看板が立ち、ささやかな神社や寺があることを告げていた。
私たちは1両列車の中で、この旅2度目の夕暮れをむかえた。

延岡で乗り換えた列車が、この旅で最後の電車になった。

宮崎へ

ワンマン列車は夜の闇をついて走った。
車窓は炭を流したように真っ黒だ。
停まった駅の名前すら判読できないほど暗い駅もあった。
車内はいつも眠ったように静かだった。

そして、夜8時37分。
私たちを乗せた列車は宮崎駅に到着した。
全行程で920キロ。
乗車時間17時間半の列車旅行は終わりを告げた。
終わった。
終わった。
終わってしまった・・・わけじゃない。
 「さあ、明日は遊ぶぞー!」
宮崎で一泊して、最終日は遊び倒す予定です!

| 国内 | 14:19 | comments:6 | TOP↑

COMMENT

いいなあ。楽しそぉ~~~。
だださん、こっちに来て青春18切符で旅行
してよ~~。今度は私がお供します。
瀬戸内海と違う景色を楽しめるよ~~。
おいでよ~~~。(^O^)

| ひらの | 2012/03/22 18:02 | URL |

ひとつ前の記事の下関駅、この記事の小倉駅、どちらも懐かしい思い出の駅です。

下関駅の黄色の汽車は山陰線、電車じゃないんですよ!
小倉駅の1番ホームは日豊本線。

写真見るだけでわっと記憶がよみがえります。

| kayo | 2012/03/22 23:28 | URL |

別府へようこそ!
と言っても私が別府に住んでいたわけではないのですが、
父の実家が別府にあって、祖母が生きていたころはよく行きました。
40年くらい前まではその家にお風呂はなくて
3件隣の銭湯に行っていましたが、
「掘ったら出るやろ」と近所の人にすすめられて庭を掘ったら温泉が出ました。
庭に温泉がある何とも贅沢な家です。
地獄巡りの写真もとても懐かしかったです。

私もアトピーがあるのですが、温泉で一時でも肌がキレイになると嬉しいですよね。
もし東の方にいらっしゃることがあったら
箱根の富士屋ホテルの温泉、オススメです。

| みわ | 2012/03/23 12:40 | URL |

>ひらのさん
18きっぷで北海道!
いいですね~雄大な旅になりそう。
次は日本一周を狙いたいので、行きますよ!

>kayoさん
汽車~!
ディーゼルのやつですよね。
まだ走ってるんですよねー。
出会いたかったです。

>みわさん
庭に温泉だなんて最高ですね!
タクシーの運転手さんから同じような話を聞かされまして、Tさんに「あんたここに住み!」って言われました(笑)
ゆっくり湯治ができたらいいのですけれど。
箱根の富士屋ホテル…お金持ちになったら行ってみたいですねー。

| だだ | 2012/03/23 18:54 | URL |

いいなあ~~。

18切符、学生の時ぐらいしか使ったことなくて、漠然と「疲れそう・・・」としか思っていなかったんですが、だださんの旅行記見ると俄然、使わないともったいないような気がしてくるから不思議です(笑)

別府の温泉がこんなにカラフルとは知りませんでした。入り比べてみたら楽しそう♪

| coneja | 2012/03/26 21:42 | URL | ≫ EDIT

>conejaさん
一人だとたぶん、疲れてたと思います。
2人でしゃべりまくって笑いまくってたから疲れることをも忘れてました。
使わないともったいないですよ!
あと残念ながら、スカイブルーの温泉は高温すぎて入れません!(笑)

| だだ | 2012/03/27 22:45 | URL |















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