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地獄行きツアー

ポトシの資源は、セロ・リコ。
世界遺産の鉱山だ。

地元の人に、坑道見学は絶対にツアーで行け、と言われた。

 「以前、愚かな若者が、ガイド代をケチって一人で坑道に入った。
  みんなが止めたのにきかなかった。
  で、道に迷った。
  探すのは大変だったんだよ!
  君には悪いけど、それは日本人だった

ああ、情けない。
同じ日本人として恥ずかしい。
穴があったら入りたい・・・。

ということで、私も穴へ入ることに。

坑道入り口

まずは、写真のお姉さんのような格好をしなければならない。
ゴム長靴。
ぶかぶかの作業着。
ヘルメットとライト。
防塵マスク以外はレンタルだ。

トンネルに一歩踏み込むと・・・。

坑道

いきなり狭い。
すぐに天井が低くなり、153センチしかない私も屈んで歩く。

少し歩くと広場のようなところに出た。
そこには赤鬼が祭られている。
ホコリにまみれているけれど
赤い体も2本のツノも、日本の赤鬼とそっくりだ。

ティオ

赤鬼は鉱夫たちの守り神。
酒とコカの葉を奉じて機嫌をとれば
鉱脈を発見して安全に帰ってこれるんだそうだ。
日本の赤鬼も金棒を持ち、鉱山に関係があるとされているから、似たような発想なのだと思う。

本番はここからだった。
ここから、大冒険が始まった。
地獄への大冒険が・・・。

それは、想像以上にハードな道だった。

暗い・狭い・臭い・暑い・ホコリっぽい。
地獄の五重苦だ。

 「ごめん、無理!」
 「オレ帰る!」

ものの10分で5人中2人がリタイア。

残された3人でガイドの後をついていく。
どんどん。
どんどん。
坑道を降りていく。
どんどん。
どんどん。
・・・狭くなっていく!

坑道は、身をかがめてやっと通れるくらい。
足場も悪くて、よくつまずいた。
足元を気にしていると天井に頭をぶつけた。
ヘルメットがなければ血まみれだろう。

レベル2に降りるともっと狭くなった。
岩をつかんでよじ登る。
四つん這いで穴をくぐる。
急斜面をお尻ですべり降りる。

ガイドが
 「クレイジーなツアーだね。
  なんでお金払ってこんな地獄みたいなとこ来たの、ハハハ」
と冗談をとばしたけど、
もう誰も口をきかなかった。
そんな余裕はない。
息をするのがやっとだった。

ポトシの標高は4000m。
空気が薄い。
到着2日目で登山なんかするべき所じゃない。
そのうえに粉塵だ。
細かな塵が、ライトを浴びてチラチラと雪のように舞っている。
金臭くて息がつまる。
過呼吸みたいにハアハアやってるうちに、持病の喘息がではじめた。

1時間ほど歩いたとき
 「今日はラッキーだ!」
ガイドが嬉しそうな声をあげた。
 「普段は開いてない扉が開いている。
  レベル4まで降りられるよ!」

だが嬉しそうな顔をしたのはガイドだけで
ほかの2人もあまりラッキーだと思ってないことは顔に書いてあった。
私はあからさまにゼエゼエ言っていたし。

 「どうする?」
ガイドが尋ねた。
 「もっと降りる? それとも引き返す?」

即答できなかった。
どう見てもこのツアー、運動不足のおばちゃん向きとは言えない。

けれど、あとの2人は若かった。
そして強かった。
軍人とガードマンというカップルだから当然だ。
 「行くわよ。
  私、体力には自信があるの」
そう言う彼女は美人だった。
スタイルもよかった。
彼氏はオトコマエだった。
・・・なんか悔しいじゃないか。
神様は不公平だなって思うじゃないか。
なんか負けなくないじゃないか!

おばちゃんは頑張ることにした。

私も行きます、と答えると、ガイドは再び道案内を続けた。

 「ハシゴを降りていくんだけどね。
  ハシゴが小さすぎて、届かないんだ。
  穴のふちに両手でぶらさがって、
  足でハシゴを探して降りてくれ


・・・何なん、そのアクロバティックな指示は!
一般観光客に求められるようなレベルじゃないだろ!

でも行くしかない。

まず、ガイドが降りて手本をみせた。
次にカップルが楽々と降りた。
最後に私だが。
穴のふちにブラーンとぶらさがったまま、
情けない悲鳴をあげてしまった。

 「足がハシゴに届かなーい!」

めいっぱい手をのばして頑張ったら、足がハシゴに触った。
なんとか降りることができた。

必死すぎて怖いと感じる余裕はなかったけど
今考えたら、あれはかなりピンチだったように思う。
もし、ハシゴを掴み損ねて落ちていたら、ほんとに地獄まで落ちてたかもしれない。
 「ごめんねー、いつもは使わない穴なもんだから」
ガイドはへらへらと笑った。

・・・続く。


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| ボリビア | 17:39 | comments:4 | TOP↑

COMMENT

正に地獄。

タダでさえ標高4000メートル地点で空気が薄いのに、
暗くて、狭くて、臭くて・・・

そんな中、1人で坑道に入った日本人がいたとは!
同じ日本人として、無謀な事をしないように気をつけたいと思います^^;

| なごやん | 2011/07/08 19:15 | URL |

もう、この気持ちよくわかる。
私もきっと同じことを言ったと思う。
「おばちゃんは頑張ることにした。」って。
きっとほかの人から見たら
「いや、がんばり所、ここじゃないから。あの、もしもし、聞いてる?」
ってところでも、こんなふうにスイッチ入ったら頑張っちゃう。
同じおばちゃんとして1票入れます(笑)

| みわ | 2011/07/08 19:58 | URL |

う~~む、確かにインディ・ジョーンズな体験ですね!(笑)
というか、よくがんばりましたね~~!!
軍人とガードマンという屈強なカップルと張り合ったんですね!

でも。。。このシチュエーションって、もし「行かない!」と
言ったら、だださん1人で3人の戻りをポツンと「五重苦」の
中で待たなければならないんですよね!?

僕は10分でリタイヤしてたかも!!(笑)

chempakaでした!

| chempaka | 2011/07/09 00:15 | URL |

>なごやんさん
なんとも無謀な若者がいたもんです。
程度の差こそあれ、バックパッカーってお金の節約のためにはものすごく勇敢になるようですね。
でもひとさまに迷惑かけちゃいけませんわ。

>みわさん
1票ありがとうございます(笑)
張り合うことで得られるものはなにもないんですが、
あえて頑張っちゃいました。

>chempakaさん
インディ・ジョーンズで坑道やトロッコが出てきたのは2でしたっけ?
もしリタイアした場合は、ガイドさんの仲間が連れて帰ってくれることになっていました。
真っ暗な坑道に一人でぽつん・・・なんて、怖すぎます!(笑)

| だだ | 2011/07/09 22:40 | URL |















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