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あーけーてー!

アディスアベバのある夜。
マズい晩ご飯を終え、宿へ戻ると・・・鍵が閉まっていた。

アディスは治安がよくないので
どの家も、刑務所みたいな塀とバカでかい門に守られている。
その門が、押しても引いてもあかないのだ。

あれえ。
誰もいないのかな?
いや、台所の電気は点いている。

とりあえずチャイムを押してみた。
ピンポーン。
・・・返事なし。
鉄の門を叩いてみた。
ガンガンガン。
・・・応答なし。
「あーけーてー!」
叫んでみた。
・・・静寂がかえってきた。

人の気配はするのに、なんで入れてくれないんだ。

時刻は夜9時。
とっぷりと日はくれている。
逃げ込む店も
街灯もなく
真っ暗な闇のなかを
懐中電灯で照らしながら歩くような道である。

くりかえすようだがアディスはあんまり治安がよくない。

ねーねーお金ちょうだいよ、の図
(お金をせびる子供たち)

宿のすぐ近所に、正体不明の浮浪者がゴロゴロしているのを思い出した。

怖くなった私は門扉にしがみついて
 「あーけーてー!」
ガンガン叩いた。
叩きに叩いた。
ガンガンガン!

むなしく30分が過ぎた。

よっぽどうるさかったらしく、隣家の人が
 「どうしたんだ」
と見にきてくれた。
そしていっしょに叩いてくれた。
 「あーけーてー!」
 「あーけーてー!」
ガンガンガン!
ガンガンガン!

隣りの隣りの人も来て、3人で叩いた。
 「あーけーてー!」
 「あーけーてー!」
 「あーけーてー!」
ガンガンガン!
ガンガンガン!
ガンガンガン!
ガンガンガン!

それでも門は開かなかった。
すると隣家の男が
 「電話してみよっか」
携帯をとりだした。
・・・最初からかけてくれよ。
と、思わないではないけれど。

電話はすぐにつながった。
宿の奥さんが門をあけてくれて、こう言った。

 「ごめーん、昼寝しちゃってた」


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