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原因は、インドのネットカフェだった

それはインド北部、レーのネットカフェでの出来事。
いつも使っているネットカフェがものすごく混んでいたので
その日は別の店・・・宿の隣りのネットカフェに入った。
よく空いている店だ。
ここは静かでいいなあ、なんて思いながら
いつものようにトイデジをUSBケーブルでPCにつないだ、
・・・その時!

なんか分らん画面が出てきた。

見たこともない英語がいっぱい。

小窓が開いて

 「Yes? NO?」

何のこっちゃ?

だが、選択するヒマもなく画面は勝手にどんどん進んでいく!

謎のプログラムが展開されている模様。

 「何なんだこれアーー!」

全部閉じた!

デジカメのUSBを引っこ抜いた!

・・・でももう、遅かった。

すぐにウィルスチェックしたら「危険度」ってやつが100個くらいでてきた。

さすがIT大国インド。

可愛いポケデジSQ28mは息絶え、マイクロSDはメモリがぶっ飛んで真っ白になってた。

旅も終わりに近かったし、
前日までの画像はハードディスクに移したあとだったんでまあ助かったけど
愛機を失ったのは痛かった。
騙されてボッタクられた2万円より痛かった。
ネットカフェのPCにデジカメをつなぐことは金輪際やめようと誓った。

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| インド | 10:19 | comments:4 | TOP↑

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「爆発するぞー!」

デリー発ダラムサラ行きの長距離バスが煙を吹いたことはリアルタイムでも書いた
車体の下から火の手があがり、ガスの臭いが充満し、みんな走って逃げたのだ。
 「爆発するぞ! 逃げろー!」
爆発しなかったけど、かなり怖い経験だった。

煙を吹くバス

代わりのバスが来るのかと思ったら
 「修理できるからこれに乗れ」
と言われた。
怖かったけど、仕方が無いからそれに乗った。
再び動きだしたバスはエアコンは効かなくなっていた。
 「エアコン・バスの料金を払っているなのにエアコンが効かないのはおかしい。
  返金しろ!」
連れのヤリエルさんがかけあってくれて
バス料金は半分以上かえってくることになった。
結果ラッキーである。

だがこのバスは、それだけでは済まなかった。

深夜、突然、バスが停まった。
乗務員が
 「みんな降りろ!
  危険だ!」
全員を叩き起こした。
何がなんだかわからないが、寝ぼけまなこでバスを降りた。
降りたら、わかった。
電線にひっかかっている。

バスの屋根には乗客の荷物がてんこもりに積まれている。
それが低く垂れさがった電線に引っかかってしまったのだ。
・・・先月、インドのどこかでバスが電線に触れて28人が感電死、という恐ろしい事故があったばかりだ。
それを思い出してみんな一瞬沈黙した。

木の枝で電線をもちあげてその場は切り抜けた。
だが、その道はすべての電線が低く垂れているから、村を抜けるまで徒歩でいってくれと告げられた。
 「エアコンバスが普通のバスになり
  とうとう徒歩になっちゃったね」
とヤリエルさんが笑った。

乗客みんなでぞろぞろ歩いた。
民家が軒をつらねる細い道で
家々のすきまにのぞく夜空はたくさんの星で埋まっていた。


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| インド | 10:25 | comments:2 | TOP↑

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偽造パスポート疑惑

ときどき出入国で揉めることがある。
イスラム国では女一人旅があんまりメジャーじゃないから
 「ちょっとおいで」
と小部屋に連れていかれ尋問を受ける、なんて珍しくもない。
ニセ日本人疑惑をかけられて
 「この日本語を読んでみろ」
とか言われることも多い。

だがまさか、ヨーロッパでつかまるとは思わなかった。
日本人観光客がわんさか往来するローマ空港の、しかも出国である。
スタンプをポン!と押して終わりだろうと思っていたのに
審査官は私を一目見るなり
 「ちょっとおいで」
と私を小部屋へ連れていった。

小部屋では偉そうな制服のおっさんが待ち構えており
私のパスポートを見るとこう言った。
 「ディッフェレンス!」
パスポートの写真と顔が違う、と言っているのだ。
偽造パスポート容疑のようだ。
いや、この写真、私だから!

・・・だけどあんまり自信がなかった。

パスポート写真は2年前に撮ったもので
そのとき私は仕事に疲れて果てていた。
頬はゲッソリ、目にはクマ。
まるで囚人みたいである。

一方、現在の私は仕事をやめて旅に出て
人生が楽しくて仕方がない状態だ。
我ながら2年前とは別人である。
似ても似つかない。

偉そうなおっさんはパスポートを持って
 「ついて来い」
と言った。
そして、そのへんを通りかかった人々に
 「この写真と同一人物だと思うか?」
ときいてまわった。
入国審査官、空港職員、掃除のおばちゃん、通りがかりの旅行者に至るまで
10人くらいに声をかけていたと思う。
出てきた結果は
 「ディッフェレンス」
だーかーらー!
本人だってのー!

この時点でかなりの時間が経過していた。
とっくに搭乗が始まっている。
このままでは乗り遅れてしまう!
私は焦った。
お互いあんまり英語はできなかったが
いっしょうけんめい説明を試みた。
 「このときは病気だったんです!
  今はヘルシー、だから顔が違うの!」
 「イン、ホスピタル?
  オペレーション?
  サージェント?」
今度は整形手術疑惑をかけられたような気がする。

よくわからない押し問答の末、おっさんは面倒くさくなってきたらしい。
 「もういいや」
とかなんとか呟くと、引き出しからスタンプを取り出し、パスポートにポン!と押してくれた。
おまけに
 「あ、ごめん。日付間違えちゃった」
・・・2つも押してくれた。
 
あー、面倒くさかった。

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| 出発・帰国 | 15:31 | comments:2 | TOP↑

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インドで騙された話(3)

飛行機で2万円で行けるところを
悪いのにひっかかって
バスとジープで2万円とられてしまった私。
ぼったくり交渉で負けが決定した直後は
さすがにちょっと凹んでた。
かなり凹んでた。
・・・30分くらい。

だけど気がついた。
飛行機にしろバスにしろ
どのみち2万円はかかっちゃうのだ。
その2万の中に、すごくエキサイティングな旅路がついて
いい経験がいっぱいできるんだから、
飛行機で一瞬で飛んでしまうよりずっとラッキー!

・・・それにね。

ダル湖

ダル・レークはあまりにも美しかった。
こんなにも穏やかで
こんなにも生命にあふれ
こんなきれいな湖は見たことがない。

湖にかかる村の橋

花が咲き乱れ
鳥がうたい
水面には青空がうつっている。
まるでもうひとつ別の世界が水の中にあるかのように。

水面にうつる空


これまで旅してきた世界はでっかかった。
私はいろんな人に出会った。

道端で死んでいた男
お金がなくて病院に行けない子供
渇きのあまり腐った泥水をのんでいる老婆
戦争で足を失った人
隣国をののしる老人
警官と戦っていた強盗
お金をねだる少年
妊婦の乞食
タクシーで襲ってきた男。

世界は悲しみにみちており
人生は苦しみとせつなさにみちているかもしれない。
それでも、世界はこんなに美しい。
生きてることは美しい。

ダル・レークで魚を釣る少年


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| インド | 10:22 | comments:5 | TOP↑

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インドで騙された話(2)

レーに行くため、まずバスでシュリナガルへ行くようにすすめられた時。
シュリナガルって聞いたことのない地名だったが
「ダル・レークのあるところだよ」
と言われてそっちの名前に惹かれてしまった。
ダル・レーク!
ものすごく綺麗な湖だと聞いたことがあったから
まあ、いいかなって思ってしまったのかもしれない。

ものすごく説得力がないけど
私はここで声を大にして言いたい。
良い子の旅人のみなさんはシュリナガルには行ってはいけません。
理由は、シュリナガルはカシミール地方(パキスタンと戦争中の土地)にあり、
外務省が
 「渡航の是非を検討してください」
を発令している地域だから。
 「危険情報なんて気にしない!」
なんて言うてるバックパッカーにも山ほど会いましたが、その話はまた今度。

とにかく、アホな私がシュリナガル=カシミールだと気づいたのは
バスチケットを購入したあとだった。
危ないかなって思ったけど
通り過ぎるだけだし、もうお金払ったあとだったから行ってしまった。

もう一度言おう。
何度でも言おう。
良い子の旅人のみなさんは、海外安全情報に従ったほうがいいと思います。
従わなかったその結果、
私はお金をとられてしまったのだから。

シュリナガルへ着くと、出迎えの男がバスターミナルに来ていた。
 「さあ、宿に案内しよう。
  レーへ行くジープの手配もそこでするから」
同じ旅行社で手配していた人たちも一緒に行くのだろうと思ったが
彼らは別の船に乗せられてしまった。
 「彼らは別のプランだ」
と言って。
・・・あら?
不審に思った。
バスで友達になった子が、別れ際、とっさに
 「気をつけて。彼はヤバいかもしれない」
と耳打ちしてきた。

だがもう、手遅れだった。

気をつけようがなかった。

連れていかれた宿はハウスボート。
湖に浮かぶ船だった。
船の家。
まわりは湖。
つまり逃げられないのである。
携帯はもちろん圏外だ。
ここがイヤだから他へ行く、とかできないのだ。

晩ご飯のあと、目的地であるレーまでのジープの交渉が始まった。
交渉役は白髪の老人で
英語もうまくぺらぺらと喋った。
 「600ドルでどうだ」
・・・どんなけふっかけてくるねん!
ボッタクリにも限度ってものがあるやろ!
そこから猛烈なバトルになるわけだ。
ジープが高いんならバスで行く。
安いバスがあることは分っている。
私は言い張ると、相手はこう言うのだ。
 「ここがどこだか知ってるかい?カシミールだよ?
  もし何かが起こってもバスならイチコロだよ?
  ジープの方が絶対に安全だ」  

負けた・・・
完全に負けた・・・
自分はなんてバカなんだろうと思った。
もし、なんとかして逃げることができても、
デリーに預けてある荷物はパーになるに違いない。
その被害も決してバカにならない。

何時間も交渉に費やしたけれど
ジープ+ボートツアーで合計200ドルもとられてしまった。
飛行機が高いからと安あがりのバスを選んだはずなのに
結局、飛行機より高くなってしまった。
人生最悪のだまされ金額である。

旅をしても旅をしても
私はどうにも旅慣れない。
阿呆な観光客のまんまである。
まあ、そこが楽しいんだけどね!(開き直ってみた)

・・・長くなりますが、明日も、この話の続きです。


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| インド | 10:09 | comments:0 | TOP↑

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インドで騙された話(1)

インドは好きだけど、インド人はキライ。
そう言ったら、インド好きの子がこう反論した。
「デリーはインドじゃありません!
 デリーのインド人は本当のインド人じゃないんです!」
じゃあ何人なんだって話。

今日はそのインドじゃないデリーで
いい経験させられちゃった話を書こうと思う。

デリー
(頑張って積んでるなあ・・・)

私はレーという町に行きたかった。
インド最北部の町。
ヒマラヤの山間部にあり
冬は雪に閉ざされるから夏にしか入れない、という「期間限定」の町である。

ところがそこへ飛行機で行こうとするとバカみたいに高い。
ハイシーズンの高騰で片道2万円くらいする。
だからバスで行こうと思った。

だが、バスターミナルに到達できなかった。

ヴァラナシやコルカタは訪れたことがあるが、
首都デリーを自分の足で歩くのは初めてだ。
それは予想以上にに戦いの連続だった。
もちろん気をつけてはいた。
人口が多いということは
それだけ悪い人も多いってことだからだ。
会う人会う人、みんな同じ。
詐欺師!
嘘つき!
ボッタクリ!
詐欺師!
嘘つき!
ボッタクリ!
詐欺師!
嘘つき!
ボッタクリ!
 「まともな人間は一人もおらんのか?」
ここに比べたらカイロやイスタンブールなんて可愛いモノだ。

一番多いのが「ニセのDTTDC(政府の観光局)」に連れていかれ
ものすごく高いツアーを売りつけられる、というパターン。
人に尋ねても
リキシャに乗っても
宿のひとにタクシー呼んでもらっても
連れていかれる先が全部みごとに「ニセDTTDC」。
笑っちゃうくらいだった。

これでは旅が進まない。
私は自力でバスターミナルに行くことをあきらめ
わりあいまともな旅行会社を探してバスの手配を頼んだが
結局、めっちゃ騙された

delih2.jpg


騙された、というより
ぼったくられた、とかハメられた、と言ったほうがいい。

彼らはまずこう言った。

 「バスでレーに?
  直通バスは無理だな。
  まだ道が雪に閉ざされている」

これは本当だった。
レーから帰るときもまだ閉ざされてたから。

 「とりあえずヒマラヤ麓のシュリナガルまでバスで行き、
  そこからジープでレーに行ってはどうだろう?」

そういうルートがあることは、ネットで調べて知っていた。
彼らはシュリナガルまでのバスと2晩の宿(食事つき)を手配すると言った。
バスが数百円、宿代も千円くらいだったと思う。
これも妥当な値段だと思った。

 「どうせデリーに戻ってくるんだろう?
  大きな荷物は預かるよ」

アホみたいに大荷物を抱えていた私は言われたとおりにすることにした。
これが第2の失敗だ。
預けた荷物は人質となってしまったからだ。

バスの旅は大変だったけど
おもしろかったし友達もできた。
あれはあれでいい旅だったと思う。
2日がかりでシュリナガルに着いた。
   
・・・問題なのはここからだが、
長くなるので続きはまた明日。
 

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| インド | 10:20 | comments:2 | TOP↑

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最大のハプニング!

旅では、いろんなことが起こるものだ。
象と出くわしたり。
男に襲われたり。
おいしくないものを口に押し込まれたり。

だが、今回の旅で一番
 「げっ!!!」
となった瞬間は
なんといっても、母からのメールを読んだときである。

送信者:母
件名 :突然ですが
本文 :精密検査の結果、来週、手術することになりました。
    明日入院。

わーん、おかあさーん!

なんの病気かも書いていない。
心配でしょうがない。
が。
こともあろうに、ここはザンビア
ルサカはいちおう首都だけど
はっきりいってボロボロである。
携帯電話もつながらない。
国際電話もつながらない。
インターネットも一瞬でぶち切れ
ネットカフェでもつながらない。
つながるはずなのに、つながならい。
ワケわかんないのがアフリカである。

とにかく、なんとかして帰らなければと思った。
早速、旅行会社にいってみたら閉まっている。
日曜でもないのに閉まっている。
やっぱりアフリカである。
ホテルの人に相談したら
 「ニッポンか~。
  飛行機とんでないよ?」
笑われた。
やっぱりアフリカなのである。

もうイヤだこんな国。
タンザニアまで出ちゃったほうがなんとかなるかもしれない。
翌朝、そう思ってバスチケットを手配していたら
ようやくネットがつながった。
母から返事がきた。

 「帰ってこなくていい。
  2週間ほどで退院するから大丈夫」

「退院できる」ではなく「退院する」と言い切っちゃうところがうちの母である。

その後もなかなか連絡がとれず
ようやく家に電話がつながったのは
数日後にダル・エス・サラームに着いてからだった。

 「絶対に帰ってきたらダメだって!
  せっかくの旅なんだから、せっかく夢が叶ったんだから。
  全うしなさい」

と母は言った。
泣きたくなった。
私はなんて親不孝をしているんだろう!

だけど
応援してくれてる母のためにも
この旅をめいっぱい楽しんで
元気に帰国し
できる限りを伝えることが
母に報いることなんだと思った。
・・・一人旅をしているけれど、私は独りではないのだ。

今さらですが。
私の不在中
母を看てくれたおばさん
親戚の皆様、大変お世話になりました。
ありがとうございました。


その後、母の手術は成功し
私が帰国したときには前よりも元気になっていた。


お母さん、ありがとう。
私は来年も親不孝をして旅に出かけるけれど、今度は手術しないください。

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| 旅の雑談 | 13:46 | comments:5 | TOP↑

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危機一髪!

女の一人旅は戦いだ。
アラブ世界では特に。
セクハラの数が尋常ではない。
イスラムの厳しい戒律に押さえ込まれている反動で
外国人には何をしてもいいと思っている男が少なくない。
そういう連中は
「性別:女子」なら容姿・年齢の見境ないのである。
観光地ではとくに性犯罪が多い。

今回一番ヤバかったのはペトラ遺跡でのことだ。
親が心配するから今まで言わないでおいたけど
やっぱり書いちゃう。

エル・ハズネ

ペトラ遺跡近くの村にたどり着いたのは昼すぎだった。
宿に荷物を置き、さっそく遺跡を目指した。
歩いて行ける距離だった。
だが・・・道がわからない。
交差点で悩んでいると目の前でタクシーが停まった。
何の変哲もない。
フツ~のオッサンが運転している
フツ~の営業タクシー。
 「ペトラへ行くんだよね?どうぞ」
普段はそんな贅沢しないのだけど
値段が安かったし、早く行かないと日が暮れてしまうので乗ってしまった。

乗るとすぐに
 「ちょっと寄り道してもいいかい?」
運転手が言った。
 「2,3分だから。ごめんね」
海外のタクシーでは珍しくないことだ。
いいよって言うとタクシーは山道を登り始めた。
ペトラ遺跡は山の下、谷底にあるから、ほぼ反対方向だ。
・・・おいおい、どこ行くの!?
と抗議すると
 「きれいな景色を見せてあげるよ」
余裕たっぷりな答えがかえってきた。
それでも私はまだ心配していなかった。
 「この辺りはいい人ばっかり。」
なーんて旅行者の噂話を信じていたからだ。

バカみたい。
いい人ばっかりな土地なんてあるわけがない。
どこにでも悪い人はいるのである。

タクシーは山の頂上でようやく停まった。
なんにも無いところだ。
人気のない寂しいところだ。

ペトラ遺跡へ向かう

運転手は車から降りて言った。
 「きれいな景色だろ!」
いや・・・どうかな。
それより早く遺跡へ行ってよ。
 「君もこの景色を楽しみなよ」
なんやそれ。
用が無いなら早く運転しろよ!
運転手はぐるっとまわって私の側のドアをあけた。
 「出ておいでよ、ほら!」
さすがにおかしいと気づいた。
気づいたけどもう遅かった。
 「美しい空、美しい景色、そして君!
  最高の日じゃないか。
  君と知り合えて嬉しいよ。キスしてくれ

するかボケ!

そのあと数分間の戦いはやけにクッキリ覚えている。

タクシーのシートに押し倒された。
中東によくあるタイプのちょいデブ男で、私よりもちろん大きい。
オッサンの顔がぶちゅ~って迫ってきたので私は両腕を突っ張って抵抗した。
 「キス・ミー!」
唇を突き出し、ツバを吐きながら迫ってくるオッサンの顔は、雑な表現だが、キモくて吐きそうだった。

必死だった。
怖いと思うヒマがない。
助けてと叫ぶ余裕もない。

オッサンの手がじりじりと悪い方向へ移動してきた。
そのはずみで一瞬、空間ができた。
足を動かすことができた。
私は力いっぱい両足で暴れた。

負けるかゴルァ~~~!
蹴り潰してやるー!!


足がどこかにヒットした。
オッサンがひるんだ。
腕の力が抜けた。
もう一蹴りして、オッサンを突き飛ばして逃げた。

坂道を転がるように走った。
ちょっと下のほうにピクニックの人たちがいることを知っていたので
そこまでダッシュした。
 「助けてー!」
ようやく声がでたとき、まずいと思ったのか
変態タクシーが私をびゅーんと抜かしていった。

ピクニックの家族連れがびっくりしてた。
奥さんのほうが事情を察して話しかけてきてくれ
遺跡まで送ってくれた。
英語がほとんど通じない人たちだったし、
私も動転して呆然としていたので、ろくにお礼も言えなかった。
警察へ行くべきだったと思い当たったのは
だいぶ経ってからだった。

無用心だったのだろ思う。
ヒッチハイクはもちろんのこと、
声をかけてくるタクシーにも乗ってはいけない。

実を言うと、こういう経験は初めてではないし
同じような目に遭ってギリギリ逃げてきた人も多い。
もし、ピクニックの人たちがいてくれなかったら。
もし、私の力がもっと弱かったとしたら。
ぞっとする。

女一人旅は戦いだ。
気をつけて
気をつけて
気をつけなくちゃいけないのだ。

・・・帰国後も筋トレをしているのは、こういう時のためだ。

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| ヨルダン | 17:46 | comments:2 | TOP↑

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あーけーてー!

アディスアベバのある夜。
マズい晩ご飯を終え、宿へ戻ると・・・鍵が閉まっていた。

アディスは治安がよくないので
どの家も、刑務所みたいな塀とバカでかい門に守られている。
その門が、押しても引いてもあかないのだ。

あれえ。
誰もいないのかな?
いや、台所の電気は点いている。

とりあえずチャイムを押してみた。
ピンポーン。
・・・返事なし。
鉄の門を叩いてみた。
ガンガンガン。
・・・応答なし。
「あーけーてー!」
叫んでみた。
・・・静寂がかえってきた。

人の気配はするのに、なんで入れてくれないんだ。

時刻は夜9時。
とっぷりと日はくれている。
逃げ込む店も
街灯もなく
真っ暗な闇のなかを
懐中電灯で照らしながら歩くような道である。

くりかえすようだがアディスはあんまり治安がよくない。

ねーねーお金ちょうだいよ、の図
(お金をせびる子供たち)

宿のすぐ近所に、正体不明の浮浪者がゴロゴロしているのを思い出した。

怖くなった私は門扉にしがみついて
 「あーけーてー!」
ガンガン叩いた。
叩きに叩いた。
ガンガンガン!

むなしく30分が過ぎた。

よっぽどうるさかったらしく、隣家の人が
 「どうしたんだ」
と見にきてくれた。
そしていっしょに叩いてくれた。
 「あーけーてー!」
 「あーけーてー!」
ガンガンガン!
ガンガンガン!

隣りの隣りの人も来て、3人で叩いた。
 「あーけーてー!」
 「あーけーてー!」
 「あーけーてー!」
ガンガンガン!
ガンガンガン!
ガンガンガン!
ガンガンガン!

それでも門は開かなかった。
すると隣家の男が
 「電話してみよっか」
携帯をとりだした。
・・・最初からかけてくれよ。
と、思わないではないけれど。

電話はすぐにつながった。
宿の奥さんが門をあけてくれて、こう言った。

 「ごめーん、昼寝しちゃってた」


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| エチオピア | 17:47 | comments:0 | TOP↑

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ゾウのいる町

ジンバブエで友達ができた。
彼の名はジェムソン。
電気も水道もない村で生まれ育った地元民だ。
ジェムソンの案内でビクトリア瀑布の上流を歩いた。
雨季で草木がにょきにょきとのび、ジャングルみたいにしげっている。

深い茂みのただなかで
先を行くジェムソンの足が止まった。
 「ゾウがいる」
エレファント、と言われたとき息がとまった。
がさり。
ごそり。
こげ茶色の小山みたいな背中が、ほんの10メートル先で動いていた。
私ひとりなら怖いけど
地元民と一緒だから大丈夫だと思った。
 「先まわりしよう」
彼は開けた道に私をつれていった。

ゾウの横切った道
(ゾウの横切った道。でも逃げるのに忙しくてゾウは撮れてない)

このあたりではわりと大きな道である。
車も通る。
トラックも通る。
そこに、ゾウがのっそりと姿をあらわした。

大きな耳。
みごとにそりかえった牙。
年とった、大きな大きな雄ゾウだった。

ゾウは悠々と車道をわたった。

小さな瞳がチラリと私達を見た。

 「まずい。逃げるよ。
  ゆっくり、ゆっくり」
ジェムソンに言われて
私達はそろりそろりと後ずさる。

ゾウがこちらに頭を向けた。
耳をパタパタさせ、鼻をふりあげた。
巨大な牙がこっちを向いてる!

 「Run!!!!!」

逃げろおおおおお!

私達は大笑いしながら走って逃げた。
ゾウは追ってはこなかった。

 「あれだけ大きいと、群れのボスかもしれないね。
  行く先に危険がないか調べているんだよ。
  でもちょっと怒ってたね」
ジェムソンは笑って教えてくれた。

ジープに乗ったサファリとはぜんぜん違う。
野生のアフリカゾウは
寡黙で神秘的で
すばらしい動物だった。
夢をみたような気持ちだった。

あくる日、泊まっている安宿のスタッフに
 「きのうゾウを見たよ!」
と自慢したら
 「俺も見たよ。
  昨夜は10頭くらいの群れがここの前の道を通ってったな」
と、ふつうに言われた。
 「犬がわんわん吠えてたの聞かなかった?」

アフリカでは、ゾウは、普通に町を歩いているらしかった。


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| ジンバブエ | 17:11 | comments:2 | TOP↑

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イタリア男の挨拶

ローマを去った。
たった1泊でローマを去った。
理由は、宿が高いから。

ごめんなさい。
私ヨーロッパをなめてました。
エルサレムと同じく、
私みたいな半端者が来るべきところではないと感じました。
アリヴェデルチ・ローマ。

力尽き、ふらふらになって乗り込んだナポリ行きの列車で
隣席の男性が陽気に話しかけてきた。
 「どこ行くの?
 ナポリ?
 僕もナポリだよ。
 ぜひカプリ島へおいでよ。すっごく綺麗だから」
車窓を指さして、あれがベスビオス火山だよ、なんて教えてくれもした。

列車がナポリに着いて、別れ際。
さよならの握手を握ったら
ぐい!
って引き寄せられた。
ハグだ、と一瞬思ったが、どうも違う。

頬っぺたがそれた。
男の顔が向きを変えた。
くちびるにチューが近づいてきた!

かわしたーーーーーー!

あぶねえええええええ!

なにすんねん、おっさん!

「挨拶だよ。チャオ!」

男は笑って去っていった。

これがアラビア男なら確実に蹴り上げてやるのだが
イタリア男はスマートにやらかすもんだから
挨拶なのかセクハラなのかよくわかんない。
実際、男どうし女どうしで唇にキスするのが挨拶って国もある。
だけど私は大和撫子。
こればっかりは断固死守!
絶対、死守!
・・・めっちゃ男前やったら考えるけどな。


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| イタリア | 04:46 | comments:7 | TOP↑

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